水溶性切削液を使用する中で、使用経時による腐敗が問題になる事があります。 大抵は、切削液が臭くなってきたり、液の外観の変化(液の褐色化、分離など)を 伴いますので、使用現場でも液の腐敗にいち早く気付かれる方も多いと思います。 水溶性切削液の腐敗の原因は、食べ物等の腐敗と同じく、液中に棲む微生物が原因です。 微生物は切削液の成分を栄養源として摂取・分解し、代謝物として悪臭の原因となる 低級脂肪酸という物を生成します。 当然、微生物が増殖すればするほど、上記のような働きは活発になります。 その結果、切削液の濃度、pH、さび止め性等が低下したり、腐敗臭が発生したり、 いわゆる切削液が腐敗した状態に陥ります。 微生物の増殖を防ぐには、濃度管理を行い、適切なpHを維持する事が不可欠です。 一般的な微生物は、pHが9.0以上の環境下では、増殖が抑制されます。 切削液タンクに混入してくる潤滑油や切り屑も、切削液のpHを下げるので腐敗の 原因になります。特に潤滑油はそれ自体が微生物の栄養源になってしまうので、 注意が必要です。 また、機械が長期に停止すると、嫌気性菌の繁殖を促し、腐敗しやすくなります。 対策として、連休前の防腐剤の添加、pH、濃度調整が挙げられます。 予め、タンク内の液量を減らしてから行えば、添加剤量も少なく抑えられます。